第32章 運命の転換点

藤原大輔は少し戸惑った様子で、私の反問を予想していなかったようだ。そのまま答えを避けた。

「実は彼の中では、もう君の目的は達成されてるんだよ」

当時の私には、その言葉の意味が分からなかった。恐らく、あのバーでの出来事、渡辺光の前で私と親密な態度を見せたことを指しているのだろう。渡辺光は私の潔白を信じていないはず。さもなければ、先ほどのような暴言を吐くはずがない。

「ところで、なぜ突然現れたの?偶然だとは思えないんだけど」と私は尋ねた。

藤原大輔は灰皿に煙草の灰を落としながら、笑みを浮かべて言った。「あいつは俺の親友で、このバーのオーナーなんだ。あの日、ブルーオーシャンで君に乾杯を持ち...

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