第36章 ここにあるすべてはあなたのもの

酔っ払った勢いで寝てしまったとはいえ、それはただの事故だった。

結婚証明書を手にしたのはあまりにも急だった。私はまだ再婚の準備ができていなかった。別荘の玄関に立ち、足がすくんでしまった。

藤原大輔が突然手を伸ばし、私の手を握りしめて中に連れて行った。

再び豪華で広々としたリビングに入ると、彼は私のスーツケースを下ろし、私を見つめて言った。

「これからは、君がこの家の奥様だよ。ここにあるすべてのもの、一草一木までも、君のものだ」

まるで夢を見ているようで、現実感がなかった。

彼は突然私に近づき、肩に手を置いて耳元でささやいた。「俺も含めてね」

顔が赤くなり、少し距離を取った。

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