第27章 酒を売る

藤原圭が冷笑いを浮かべて事務所を出て行った後、鈴木瑠璃は薄暗い隅に一人座り込んでいた。心の中は諦めと絶望で満ちていた。腫瘍が疼き始め、波のように押し寄せる痛みに、注意を集中することもままならない。

バッグから鎮痛剤を取り出し、震える手で薬を飲み込んだ。この苦痛が和らぐようにと、心の中で祈るばかりだった。

「こんなところで諦めるわけにはいかない……」彼女は小声で呟き、心に決意を固めた。

藤原圭の提案は屈辱的だったが、治療費を工面する方法を見つけなければならないことも分かっていた。彼の提案通り、クラブでお酒を売ることにした。

ネオンが瞬く中、轟音が響くクラブに足を踏み入れた瑠璃は、緊張と...

ログインして続きを読む