第23章 偽物騒動

「もしもし、どうしたらの」水原蛍は電話口で甘く言った。

高橋逸人は眉をひそめ、顔が曇った。

彼女に彼氏がいるのか?

「ごめんね、ちょっと用事が長引いちゃって。今帰り道なの。家で待っていてね。あ、そうそう、あなたまだご飯食べてないでしょう?何が食べたい?うん...うん...分かった。じゃあね!」

「彼氏か?」高橋逸人は尋ねるように言った。

水原蛍は眉を上げ、不思議そうに彼を見た。

「まあ、高橋社長も他人のプライベートに興味があるんですね?」

「ふん、騙されないように言っておくだけだ」

「はっ、ご心配なく。私の男は世界で一番素敵な人です。そして、一生私のそばを離れることはありませ...

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