第32章 薬を盛る

水原美香は田村健一が水原蛍に向ける卑劣な表情を見て、心の中で軽蔑を禁じ得なかった。

嫌な男!

しかし、彼女は考え直してみると、こんな嫌な男に水原蛍を汚されるのを見たら、高橋逸人が彼女を見向きもしないのはもちろん、彼女自身も自殺したくなるほど嫌悪感を覚えるだろう。考えただけで期待できる。

水原蛍、この娼婦め、本当に男性に致命的な魅力を持っている。

水原蛍は彼が差し出す手を見て、自分を無遠慮に見つめるその視線に冷たく答え、握手しなかった。

彼女はこのような卑劣な男と握手したくない。

彼女は潔癖症だから!

田村健一はニヤリと笑い、怒ることもなく、ただまた卑猥な表情を見せた。

いい、...

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