第28章

高橋司がちょうどドアの前に来た。

「美智子さん!お年玉は?私が葉山にあげた大きなお年玉はどこ?早く持ってきて!」おばあちゃんは嬉しそうに叫んだ。

ヘーセウィは周りを見渡した。

「葉山って?」

「誰でもありません。お母様が混乱されているだけです!」鈴木清は慌てて言った。「お母様、おさんの奥様はここにいらっしゃいますよ!」

おばあちゃんの視線がヘーセウィに向けられた。

しばらく見つめた後、突然口を歪めて大泣きを始めた。「葉山は?司と葉山は?この子は葉山じゃない。私は葉山が見たいの!」

高橋司は胸が締め付けられるような思いだった。

お母様は三年前にアルツハイマー病と診断された。

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