第33章

「ネットで攻略を見たんだけど、地元の料理が美味しそうな店があって、ちょっと遠いけど、遅く行くと行列ができるんだ!」

葉山萌香はここ数年、高橋司のそばにいて、接する人々は、策略に長けた者か、放蕩者ばかりだった。

鈴木悟のように天真爛漫な人は、本当に久しぶりに見た。

時折、そんな瞬間があった。

葉山萌香は、大きな変化が起こる前の自分を思い出した。

熱烈で純粋だった。

「いいわよ、せっかくご馳走するんだから、食べたいものはあなたが決めて」

葉山萌香は子供をあやすように、優しく頷いた。

鈴木悟は大いに喜んだ。

葉山萌香はバッグを持ち、鈴木悟と一緒に外に出た。

秋のS市、街角には黄...

ログインして続きを読む