第58章

「わ、私……」白石沙耶は体の激しい痒みを口にするのが恥ずかしく言葉を詰まらせた。

「確かに顔色が悪いな。行こう、俺が病院に付き添うよ」

緊急事態に、美作アレンは世間体など気にしている場合ではなく、白石沙耶の手を取ってすぐに立ち去ろうとした。

一同は驚きの表情を浮かべた。

「離して、監督がまだ許可してないわ」白石沙耶は美作アレンの手から逃れようとした。

「監督、なぜ休暇を認めないんですか?」美作アレンは監督に向かって尋ねた。

「それはね、撮影現場には独自のスケジュールがあって……」

「スケジュールなんてくそくらえだ。俳優は機械じゃない、病気になったのに治療させないつもりか?」美作...

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