第13章

病院を出て、やっぱり大前さんを訪ねることにした。

父が私を大前さんの家に連れて行った時の道筋を思い出しながら、ナビの指示に従って、ようやくその古風な洋館の前に辿り着いた。

私の心臓は思わず早鐘を打ち始めた。大前さんが私たちを助けてくれるかどうか分からない。深く息を吸い込み、勇気を出してインターホンを押した。

しばらくして、ドアがゆっくりと開き、執事らしき人が私を中へ案内してくれた。静かな庭を通り抜け、広々とした書斎に入ると、大前さんが机の後ろで書道の練習をしていた。彼は顔を上げて私を見ると、目に驚きの色が浮かんだ。

「君は鈴木静香かね?」大前さんは老眼鏡を外し、机の前に歩み寄って私を...

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