第20章

多分以前の私は恋に目が眩んでいたからこそ、佐藤美咲の目に溢れる所有欲が見えなかったのだろう。佐藤美咲は山本翔一の肩を力強く叩きながら、上機嫌で言った。

「お兄さん、静香を探しに行きましょう」

見たくもなかった私は、顔を背けて二日酔い止めを飲んだ。

「ふふ」山田さんが突然笑った。

「美咲さんはもう成人なのに、相変わらず子供みたいですね」

私は突然、山本翔一と佐藤美咲がいつか結ばれる日が来るのではないかと思った。

目を閉じて、それ以上考えないようにした。

「静香!」山本翔一は佐藤美咲を背負って寝室に入ってきた。佐藤美咲は山本翔一の背中から飛び降りた。

「こんなに長い間どこに行って...

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