第26章

連日、私は山本康夫の誕生祝いの準備で忙しく過ごしていた。腕の傷も時間の経過とともに徐々に良くなってきた。

山本翔一は父親に孝行な息子で、私が毎日父親の誕生祝いで忙しくしているのを見て、もう私を困らせることはなくなった。

傷が完全に治ったら法律事務所に出勤しようと思っていたが、この日、平沢雪乃から電話がかかってきた。

「静香ちゃん、どうしてまだ法律事務所に来ないの?」

平沢雪乃というやつは、青木易扬が私のことを静香ちゃんと呼ぶのを聞いてからは、彼女も青木易扬の口調を真似て私をそう呼ぶようになった。

私は平沢雪乃に最近起きたことを話した。すると平沢雪乃が突然尋ねてきた。

「静香ちゃん...

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