第16章

次の日の朝早く、ホウデンはメイフィストを探しに急いだ。長年軍隊にいた彼は、誰もが決まった時間に起きると思っていたが、庭やダイニングを一周しても姿が見えず、最後に侍従に尋ねてようやく、兄貴はまだ寝ているだろうと知らされた。

ホウデンは唖然とした。彼はあまり家にいなかったので、お母さんから兄貴が少し怠惰だと聞いていただけで、まさか寝坊するとは思ってもみなかった。しかし、物事を先延ばしにすれば変化が生じる恐れがある。アネルが密かに配下の者たちに指示して、彼女の悪事の痕跡を消し去ってしまうかもしれない。そのため、ホウデンは歯を食いしばり、勢いよくメイフィストの部屋へ駆けつけた。

「兄貴!」

メ...

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