第104章 ちょうど、私も気分が悪い

「彼女はここにいない」山本希は冷淡に一言返した。

「今日は彼女を病院に連れて行ったわけじゃない」高橋清渊はポケットに片手を入れた。「ただ彼女と話がしたいだけだ。心配するな、何もしないよ」

山本希はやはり同じ言葉を返した。「彼女はここにいない」

「ボディーガードも秘書も連れてこなかった。俺一人だ」高橋清渊は穏やかな口調で続けた。

「今朝、彼女はJ市を離れた」山本希は高橋清渊が調べることも恐れず、率直に伝えた。

高橋清渊は「?」という表情を浮かべた。

彼のどこか散漫だった表情がようやく引き締まった。「どこに行った?」

「知らない」

「お前が知らないはずがない」

「信じるか信じな...

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