第156章 詩子はいつも酒子の味方

だからこそお母さんが生きていた頃、将来もお父さんのような優しくて愛情深い人を見つけなさいと一度も言わなかったのね。

全部嘘だったから。

全部演技だったから。

「西村月子はあなたにとって何なの」山本希は全ての感情を引き戻し、これまでのどの瞬間よりも静かな声で言った。

その言葉を聞いて。

山本お父さんは黙ったまま、自然と彼女の隣に腰を下ろした。

その後の30分間、山本お父さんは当時の事情をすべて彼女に話した。彼と彼女の母がどのように結婚したのか、そして彼と西村月子の関係について。

すべての話を聞き終えた山本希は、胸に大きな石が乗っているような気分だった。

彼女は立ち上がり、目には...

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