第16章 犯人が捕まる

「私は心を柔らかくしてどうするの?チャンスは何度も与えたわ。半年経っても彼が後悔することはなかった。これからも後悔する必要はないわ」

坂田和人はほっと息をついた。「わかった」

山本希が家に着いても、坂田和人の車はすぐには発たなかった。

彼は心配りのある兄のように言い聞かせた。「何かあったら無理しないで、電話してね。しばらくはずっとここにいるから」

山本希は尋ねた。「いつ帰るの?」

坂田和人は答えた。「君が離婚証明書を手に入れたら」

山本希はうなずいた。「わかったわ。ありがとう」

坂田和人は優しく微笑んだ。「礼なんていらないよ」

二人は玄関先でもなかなか別れを惜しんでいた。

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