第173章 酒子は柔らかいご飯が好き

山本希の視線が彼の上に少し長く留まった。

「お兄ちゃん、今日はどうしたの?」

佐藤悟も山本一樹が少し変だと感じていたが、多くを語らず、ただトイレの場所を指し示した。

山本一樹が行ってしまうと、山本希と佐藤悟だけがそこに立ち尽くすことになった。

二人とも何も話さなかった。

これが他の二人であれば、きっと不快な空気が漂っていただろうが、山本希と佐藤悟のこの状態は、無理やりカップル感を醸し出していた。

山本一樹はトイレに行くと携帯を取り出し、山本希にラインを送り始めた。

【酒子、兄ちゃんに一つ頼みがある。佐藤悟に昨夜の監視カメラの映像を消してもらって。】

【今回だけだから、これが済...

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