第20章 離婚したくてたまらない

「私が思うに、二年前に好きだった人が、今も好きとは限らないわ」小林秘書は正直に言った。「過去の人のために、今の人を傷つけるべきではないわ」

佐藤悟は黙り込んだ。

しかし心の中ではこの言葉が何度も繰り返されていた。

彼は絵里を愛していた。当時の彼女の優しさ、思いやり、そして常に寄り添ってくれる姿は、彼の平凡な日常の中での慰めだった。

あの素晴らしい思い出は、今でも仕事をこなし、数々の困難を乗り越える支えとなっている。

あの誤解さえなければ、彼らは別れることもなく、今頃は子供も生まれていたかもしれない。

小林秘書は事態に転機が訪れそうなのを見て、社長が自分の話を聞き入れてくれさえすれ...

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