第21章 一緒に見に行こう

しかし、そんなに都合よく行くものだろうか?

必要がなければ、飛行機のチケットを逃す人はほとんどいないはずだ。

山本希の足が一瞬震え、慌てて後退りながら、出入りする乗客に尋ねようとした。できればチケットを売ってくれる人に出会えればいいのに。

そのとき、彼女は誰かにぶつかった。

次の瞬間、彼女の手首が掴まれ、思わず振り返ると佐藤悟の冷淡で少し怒りを含んだ顔が目に入った。「どこへ行くつもりだ?離婚冷静期間がまだ一日目なのに、もう逃げるつもりか?」

山本希は彼と口論する気分ではなかった。力を入れて彼の手を振り払った。

一言も言わず、そのまま外へ向かう。

背後から係員の声が届いた。「今夜...

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