第27章 たくさんの女性があなたを旦那と呼ぶ

山本清語の病室の前には曲がり角があった。

佐藤悟はわざと間違った道を案内したが、山本希が正しい道を知っていれば迷うはずがなかった。

山本希は淡々とした表情で小林秘書について正しい方向へ歩いていった。

小林秘書は社長が間違った方向に行くのを見て、困ったような表情を浮かべた。

「社長……こちらです」昨日も通ったのに、今日はもう忘れてしまったのかしら?

佐藤悟は山本希の側に来て笑みを浮かべた。「山本希、どうしてこっちが正しい道だと分かったんだ?」

山本希は馬鹿を見るような目で彼を見た。「小林秘書の方があなたより信頼できると思ったわ」

その一言で小林秘書は冷や汗を流した。「すべては社長...

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