第3章 純粋な友情

車は道路を走っていた。

運転手の小林秘書は額に汗を滲ませていた。

周りの空気は冷たく、エアコンもしっかり効いているはずなのに、なぜか彼は妙に緊張していた。

助手席には社長奥さんが座り、社長は険しい顔で後部座席に座っていた。

彼は恐る恐るバックミラー越しに自分の社長を観察した。

社長の視線が思わず奥さんに向けられているのに気づいた。

その目の奥の感情は、おそらく本人さえ気づいていないものだった。

小林秘書はますます声を出す勇気がなくなった。

金持ちの世界は、やはり彼には理解しがたかった。

十数分後、小林秘書は病院の駐車場で空いているスペースを見つけて停車した。

佐藤悟は大股...

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