第49章 あなたの言うこと、一言も信じない

佐藤悟の視線が彼のペラペラと喋り続ける口元に落ち、針で縫い付けてしまいたいとさえ思った。

もちろん、山本希がそんなことをしないと彼もそう思っていた。彼がそう言うのは、ただ山本希がなぜハッカーの技術を隠していたのかを知りたかっただけだ。

夫であるのに、そんなことさえ知らなかった。

自分の社長が本気で怒っているのを見て、小林秘書も彼を助けるように尋ねた。「山本さん、なぜ一度もハッカーだとは言わなかったんですか?」

「なぜ言う必要があるの?」

「かっこいいじゃないですか」

「……」

「……」

「冗談ですよ」小林秘書も自分の言葉が少し馬鹿げていることを知って、眼鏡を押し上げながら言い...

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