第59章 私だとわかってそんなにがっかりする

冷たい声が突然響いた。

小林橋の体が一瞬固まった。社長の声が聞こえたような気がした……

顔の笑みがまだ消える間もないうちに、社長が口を開くのが聞こえた。

「楽しそうだな?」佐藤悟が足音を立てて近づいてきて、プレッシャーが一気に増した。

小林橋と山本希は同時に彼の方を見た。

小林秘書はほぼ瞬時に立ち上がり、唾を一つ飲み込んだ。「社長……」

社長がなぜここに?!

山本希はちらりと一瞥しただけで、また元の作業に戻った。彼の存在に全く影響されていない様子だった。

しかし、この男が直接入ってきたということは、きっと彼女のパスワードを推測したのだろう。パスワードを変更する時間を見つけない...

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