第78章 そんなクズ男、ふさわしくない

「奈央のお世話はもう必要ないでしょう」高橋清渊はごく自然に村上奈央の手を取った。「私たちはまだ用事があるので、先に失礼します」

坂田和人は唇の端に浅い笑顔を浮かべて言った。「どうぞ」

高橋清渊は軽く頷き、表面上の礼儀は果たした。

彼が村上奈央を連れて外に向かおうとした瞬間、村上奈央は突然彼の手を振りほどき、無意識に坂田和人の方向に近づいた。「あなたは先に帰って。私は山本希とまだ話があるから」

彼女は彼の目的が何なのかを知っていた。

彼女が彼について行けば、きっと直接車で病院に連れて行かれるだろう。

「村上奈央」高橋清渊は彼女の名前を呼び、言葉に警告の調子を含ませた。

「山本希と...

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