第86章 あなたは坂田和人と寝たか

「もういいわ、考えるのやめた」山本希は立ち上がり、こんなことに心を悩ませる気はなかった。「先に帰るわ」

そんなことで起きる結果といえば、佐藤悟に疑われて問い詰められることくらい。どうせ今までにも何度も冤罪を着せられてきたのだから、もう一度増えても構わない。

彼女は佐藤悟にとって、ただの嘘つきでしかなかった。

「俺が車で送るよ」坂田和人も立ち上がった。

「結構よ」山本希は断った。「あなたはホテルに監視カメラの映像を確認しに行った方がいいわ。誰が手紙を届けたのか見てみて」

坂田和人は彼女がそう言うのを聞いて、もうこれ以上は主張しなかった。

しかし、それでもホテルの入口まで彼女を送り、...

ログインして続きを読む