第90章 口では違うことを言う佐藤悟

「誰がお前に俺が彼女を心配してるって言ったんだ」佐藤悟は口では否定しながらも、山本希を見るとすぐに彼女と坂田和人のことを思い出してしまう。

「さっきじゃないですか、山本さんのために火事現場に飛び込もうとしていたじゃないですか」小林秘書は全く遠慮しない。

佐藤悟の瞳が冷たく光る。

こいつ、最近調子に乗りすぎじゃないか?

「山本さんとゆっくり話してきてください」小林秘書は社長の恐ろしい視線を無視し、一瞥もせずに逃げるように言った。「車でお待ちしています」

そう言うと車に乗り込み、ついでにロックをかけてしまった。

佐藤悟は彼の言葉など気にも留めず、自分で車に向かって歩き出し、ドアを開け...

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