第105章 由美のお父さん

「医療箱を持ってきてくれ」

彼は冷たい表情で、ソファに座り、淡々と自分で傷の手当てをしていた。

周囲は静まり返り、誰も彼の邪魔をする勇気はなかった。

白い包帯を手に巻きつけ、村上龍平はいい加減に結び目を作ると、突然尋ねた。「刑務所の方は、どうなっている」

執事は一瞬反応できなかった。「刑務所ですか?あ……村上さん、松本先生のことでしょうか?」

「他に誰がいる」

「松本先生はずっと服役中で、特に動きはないと聞いております」

村上龍平は突然冷たく唇の端を吊り上げた。「明日の朝一番で、関係者に手を回して、連れてこい」

執事は内心震えた。「かしこまりました」

彼は...

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