第109章 彼女はあなたがそれを身につけるのを見たい

「なんて大胆な!」遠藤莉子は驚きの声を上げた。「命知らずね!こんな高額なものを、刑務所行きになりたいの?」

松本由美は動揺の後、かえって冷静さを取り戻した。

「婚約指輪が私のバッグにあるからって、盗んだことになるの?そんな根拠もなく私を疑うのはどうかと思うわ」と彼女は答えた。

「あなたみたいな立場の人間が、一人で婚約指輪を持ち歩くなんておかしいでしょ?自分が何様だと思ってるの?」

「田中さんに指輪を渡そうとしていただけよ……」

「田中さんを盾にしないで」遠藤莉子は彼女の説明を遮った。「さあ、村上さんのところへ行くわよ!こんな大事なことは、彼に直接判断してもらわないと!」

村上龍平...

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