第115章 鈴木千夏は大きな嘘をついた!

菊池光司の存在は、彼女にとって、この花束のようなものだった。

太陽に向かって生きる。

彼は彼女の光であり、最も暗い時に彼女を救ってくれた存在だった。

夜。

夜の帳が降りる。

松本由美は疲れ切った体を引きずって帝苑テラスに戻り、身支度を整えると、いつものように、イヤホンを耳に当てた。

鈴木千夏の声が流れ出した。

彼女はそれを聞きながら、鉛筆を手に、紙の上に気ままにデザイン画を描いていた。

そして、院長の声がイヤホンから響いた瞬間、松本由美は手の中の鉛筆を止めた。

彼女は一言も聞き逃すまいと、全神経を集中させて聞き入った。

会話の時間は...

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