第13章 鈴木千夏にちょっかいを出さないでください

彼女の足取りはゆっくりと止まったが、それでもその人に向き合う勇気が出なかった。

渡辺川が彼女の背後に歩み寄った。「君を見た時、目の錯覚かと思って、声をかける勇気がなかったんだ。でも間違いなく、君だ、由美」

彼女はゴミを拾っていた。

しかも、その動きは慣れたもので、初めてではないようだった。

「由美...どうしてこんな状況に追い込まれてしまったんだ」渡辺川は尋ねた。「この数年間、一体何があったんだ?」

かつてはあんなに明るく輝いていた女の子。眩しいほどの光を放ち、礼儀正しく、彼の理想の女性だった。

今や、彼女の身には疲労と歳月の重みが一層増していた。

「人違いですよ」松本由美は俯...

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