第130章 枕の下のフルーツナイフ

松本由美は点滴の管から落ちる液体の音さえ聞こえるほどだった。

心が死んだように、生気のかけらもない。今の彼女の状態はまさにそんな感じだろう。

村上龍平はソファに腰掛け、膝の上にノートパソコンを置いて仕事を始めた。

村上グループの社長に就任して以来、初めて会社に行かない日だった。

全て松本由美という女のせいだ。

残念なことに……彼女は少しも感謝の気持ちを見せなかった。

村上龍平はパソコンの画面を見つめていたが、実際は落ち着かず、まともに仕事に集中できなかった。

佐藤嘉からのメッセージに返信し、いくつかの指示を出した後、キーボードの上で彼の指は動きを止めた。

田中隆司からのメッセ...

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