第136章 恨むなら恨め、愛するならそれで十分

村上龍平は頷き、側に置かれたフルーツナイフを拾い上げた。「これを捨ててこい。今からは病室に鋭いものは一切置かないように、何も」

彼はとうに気づいていた、松本由美が枕の下にナイフを隠していることに。

だが、彼は何も言わず、取り上げもしなかった。

なぜなら村上龍平は思っていた……それは彼を殺すためのものだと。だからこそ、彼女にその機会を与えていたのだ。

だが最後の瞬間、松本由美はナイフの向きを変え、彼ではなく自分自身に突き刺そうとした——予想外の展開だった。

村上龍平の手のひらは包帯で何重にも巻かれていた。非常に分厚く。

それでも、血は包帯を真っ赤に染めていた。

「私はあなたを殺さ...

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