第139章 松本由美、あなたの心に私がいる

「松本由美!」

彼女は微笑んだ。「ただ言いたかっただけよ。あなたがくれるものは、私が欲しいものじゃなかったってこと。私が欲しいものは、あなたには与えられないの」

たとえ村上龍平が彼女を愛しているがために、彼女のお父さんを釈放すると約束したとしても、松本由美は受け入れないだろう。

彼女が望んでいるのは、お父さんに堂々とした自由を、揺るぎない無実の証明を与えることだった。

そうではなく……村上龍平の彼女への愛と引き換えに、お父さんの「無罪放免」を得るようなことではない。

村上龍平はネクタイを軽く引っ張り、喉仏が上下した。

彼が与えられない?

笑わせる!

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