第146章 私は彼女を守りたい

「あの時は彼に弱みを握られてなかったから、私を引き留めることはできなかった。もし堂々と出て行くことを許してくれないなら……逃げるしかない」

計画的に準備して逃げなければ、成功率は高くならない。

さもなければ、彼女はすぐに村上龍平に連れ戻されてしまうだろう。

松本由美は肩を落として事務所を出た。

イヤホンは彼女にとって、あまりにも重要だった……鈴木千夏と母親の会話を聞けるだけでなく、時間が経てば、鈴木千夏からさらに多くの秘密を得られるかもしれない。

イヤホンが手に入るまでの数日間、すべてが順調に平穏に進むことを願うばかりだ。

もう何も問題が起きませんように。

松本由美は自分の感情...

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