第184章 私はあなたの心が石でできているとは信じない

「逃げられないよ、由美ちゃん」

彼女は目を閉じ、手を上げて彼を抱き返した。手が彼の背中に触れた。

村上龍平の体が一瞬震えた後、さらに強く彼女を抱きしめた。

彼女が自分に応えてくれている。彼はとても嬉しかった。

だが……

「村上龍平、知ってる?」松本由美は彼の耳元で言った。「私が一番したいことは、あなたから完全に逃げ出すこと。できるだけ遠くへ」

彼の心は一瞬鈍く痛み、息をするのさえ胸が引き裂かれるようだった。

「どうして私を見つけたの?やっと村上おじいさんが助けてくれて、逃げ出せたのに、あなたはこんなにも早く来て……あなたの手はもういらないの?障害者に...

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