第21章 何を恐れる、私が君を救う

彼女は口元を笑みに上げながら、目頭の涙を拭った。

さっきまで松本由美は必死に逃げることと腹の子を守ることだけを考えていたが、今になってようやく自分の体がひどく痛み、背中が汗でびっしょりになっていることに気づいた。

今、村上龍平の姿を見て、やっと安堵の息をついた。

彼女は無事だった。

「なぜお前は俺の視界から消えるたびに、トラブルに巻き込まれるんだ?」村上龍平は顔を下げて言った。「大人しく俺のそばにいられないのか?」

彼は会議を終えて事務所に戻り、佐藤嘉に昼食の注文を聞かれたとき、ふと松本由美のことを思い出した。

結局、佐藤嘉が宝飾部に問い合わせると、鈴木千...

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