第68章 これは愛ではなく、病気だ

彼女が会社を出たところで、渡辺川が道端に立っているのを見た。

松本由美はハッとした。なぜ彼がここに?

振り返ると、村上龍平の視線と目が合った。

彼は歩み寄って彼女の傍に来た。「そんなに彼が俺に見つかるのが怖いのか?」

「私は……ただあなたがついてきたかどうか確認していただけです」

村上龍平は冷ややかに鼻を鳴らし、手を伸ばして彼女の腰に回すと、真っ直ぐ渡辺川に向かって歩き出した。

松本由美が抵抗しようとすると、彼はかえって腕に力を込め、彼女が息もできないほど締め付けた。

渡辺川は静かにそこに立っていた。

彼の顔にはまだ傷があり、青紫の痣が点々と残っていた。すべて村上龍平に殴られ...

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