第85章 どうも松本由美がとても馴染み深い気がする

彼は写真よりもさらに気品があった。陽の光の中に座り、サインペンを手にして、袖口のボタンが光を反射している。

優しくも近づきがたい、爽やかなハンサムさだった。

「菊池社長、村上宝飾部の方がお見えになりました」秘書が告げた。

彼は顔を上げた。「お二人とも、どうぞお座りください」

遠藤莉子は愛想笑いを浮かべた。「菊池社長、お噂はかねがね伺っておりました。お会いできるなんて、本当に光栄です」

この声は……

松本由美は鳥肌が立つのを感じた。

彼女は咳払いを二度して、遠藤莉子に気づかせようとした。

しかし遠藤莉子は全く相手にせず、前に進み出て菊池光司と握手しようとした。

菊池光司は眉を...

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