第97章 この子を救わない

村上龍平は目を細めた。「執事!」

「村上さん」執事は頭から汗を流し、慌てて駆けつけてきた。「大変です、奥様が大量出血で、危篤状態です!今救急処置に回されました!」

「彼女も出血したのか?」

「はい、救急車の中では奥様はまだ意識がはっきりしていたのですが、病院に着いた途端に意識不明になってしまって、口では子供のことを繰り返し呟いていて……はぁ」

執事はため息をつき、何度も首を振った。

院長は心の中で驚いたが、その後喜びが湧いてきた。

千夏は本当に手腕が良いな、十分賢い。自分は無事に流産させただけでなく、松本由美にも子供を失わせるとは!

素晴らしい!

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