第107章

北島初子は堀内陽平の腕の中で甘く眠っていた。小さな手が男の襟元をぎゅっと握り、美しく長いまつげが静かに揺れている姿は、まるで天から舞い降りた天使のようだった。

堀内陽平は目を伏せ、彼女の頬が赤く染まっているのを見て、あの夢中で初々しいキスを思い出し、胸が騒いだ。

しかし、さすがはベテラン。すぐに心を落ち着かせ、北島美月に視線を戻した時には、すでに鋭さを取り戻していた。「北島さん、今行ってしまったら、これからの見物を逃してしまいますよ?」

「わ…私、ちょっとトイレに」北島美月は額に汗を浮かべ、心臓が震えるほど恐怖に震えた。

「全部見終わってからでも遅くないでしょう」

堀内陽平は腕の中...

ログインして続きを読む