第115章

離婚証明書を手にした瞬間、古城美雪と北島神人の十三年の絆は、完全に幕を閉じた。

記憶が正しければ、おじいさんの八十歳の誕生日が終わったら、次はあのクズ男と金崎恵の大安吉日での結婚式だろう。

金崎恵は、ついに長年の苦労が報われ、晴れて世界中に北島グループ社長夫人という地位を誇示できるようになる。

そう考えると、古城美雪に後悔はなく、ただ祝福の気持ちしかなかった。

結局、彼にふさわしいのは彼女だけ。そうしてこそ末永く添い遂げられるのだから。

夕暮れ時、古城美雪は二人の兄と小林翔に付き添われて海門に戻った。

「姉さん!」

松風苑の大門に足を踏み入れた瞬間、澄んだ甘い声、まるで小鳥のさ...

ログインして続きを読む