第190章

翌日。

北島神人はこちら側の荊手の件をまだ処理し終えていなかったが、堀内陽平が交通事故に遭ったと聞くや否や、何もかも放り出して心配のあまり最速で病院へ駆けつけた。

VIP病室内。

堀内陽平はベッドに真っ直ぐ横たわり、腰にはコルセット、首にはネックカラーを着け、大きく口を開けて女性秘書が切って差し出すリンゴを受け取ろうとしていた。

その間抜けた様子といったら、まるで地主の家の自活できない馬鹿息子が、自分の女中をいじめ倒しているようだった。

北島神人が病室に入ると、彼の様子を見て眉をひそめた。「まだ三十にもならないのに、随分と図々しくなったな」

女性秘書は慌てて一歩下がり、男性に一礼...

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