第47章

夜の帳が降り、ACEの高級クラブにて。堀内陽平の経営する施設だ。

北島神人は気分が極度に落ち込んでいたため、珍しく友人に酒を誘った。

堀内陽平は嬉々として自ら車を運転して彼を迎えに来た。幼い頃から北島神人が自分から彼を誘うことなど、指で数えるほどしかなかったのだから。

「俺、時々お前の愛人みたいな気分になるよ」

堀内陽平は北島神人の耳元でぶつぶつと文句を言った。外部の人間の前では彼は無頼の帝王だが、北島神人の前ではおしゃべりなおばあさんのようだった。

「俺は女の前でさえこんな卑屈になったことないのに、お前の前じゃまるで空き家を守る浮気相手みたいだ。お前が一声かければ、化粧して飛んで...

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