第50章

古城美雪は薄い瞼を上げ、水気を帯びた杏色の瞳で、飛んでいきそうなほどのイケメンを見つめた。

彼は夜風のように現れ、片膝を彼女の前についた。彫刻のように端正な顔を上げ、彼女を深く見つめる。

「聞いたよ、妹が俺を見捨てようとしてるって?」古城隼人は唇を弧を描くように上げ、悪戯っぽくも溺愛に満ちた笑みを浮かべた。

「四兄……」古城美雪は紅い唇を小さく動かし、声は柔らかく響いた。

「ふぅ、まだ四兄と呼んでくれるなんて、この胸のつかえが下りたよ」

古城家の四男・古城隼人は喜色満面で、普段は腹黒く鋭い眼差しが、彼女のためだけに氷雪が溶け始めるように、夜明けの光のように和らいだ。

彼は長く逞し...

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