第65章

この姿勢、艶めかしくて火がつきそうだ。

さすが堀内陽平は女を口説くことに関しては殿堂級だ。

「はっ、今度こそ本気で骨折したいわけ?堀内若様」古城美雪は歯を食いしばって問い返した。澄み切った瞳には殺気が満ちている。

堀内陽平はこれ以上近づく勇気もなく、急いで二歩下がって無邪気な顔を装った。「冗談だよ、そんなに怖い顔しないでよ……

それに俺だって被害者じゃないか?殴られるわ、怒鳴られるわ、服はボロボロだわ。昼には母と食事の約束があるんだ。こんな姿で会ったら良くないだろ。

他はともかく、せめて服くらい替えさせてくれよ?」

古城美雪も先ほどの自分が少し行き過ぎたと感じていた。

目も心も...

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