第74章

TZホテル。

事務室で、「手が回らない」古城美雪はまたゲームを起動し、チェーンソーを手にした殺人鬼となって生存者たちを恐ろしく追いかけていた。

机の上にはビールとフライドチキン。彼女がゲームをする時に一番好きな食べ物だ。

どんな高級フランス料理も、懐石料理も、会席料理も、夏の焼肉や冬の鍋、手元のフライドチキンには敵わない。

古城美雪はふと思い出した。北島神人と結婚していた三年間、煙アレルギーの苦しさに耐えながら、一年中キッチンでマスクをつけて彼のために最高の料理を作っていたことを。

お母さんがお父さんと一緒になってから台所に立ち、腕を磨いてお父さんの胃袋をしっかり掴んだことを思い出...

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