第91章

翌日の午後、北島神人はようやく目を覚ました。

この一晩、彼は同じ夢を何度も繰り返し見ていた。

かつてL国の戦場で、彼は困難な任務を遂行するため派遣された。他の五十名の戦友とともに敵陣に潜入し、テロリストを殲滅して、そこに監禁されていた十名の人質を救出するという作戦だった。

凶悪な犯罪者たちは皆重火器を手にしていた。幼さの残る十代の少年たちが、五歳から人殺しや強盗を始めていたのだ。

血で染まった砂、人間の地獄。

本来なら北島神人はこの任務に含まれていなかった。自ら志願して「決死隊」の一員となったのだ。

「若いの、結婚してるのか?」

「いいえ」

「結婚もしてないし、子供もいない。...

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