第011章

彼女は表舞台に立つことに慣れていなかった。こうして表に出ると、本当に妙な感じがした。

「大丈夫だって」鈴木雲は車を停めると、水原玲の肩に手を置いて彼女を向き直らせ、真剣な表情で言った。

「国内のディナーパーティーのことはよく知らないだろうけど、聞いてよ。初めてお披露目する今日は、彼らの目を釘付けにして、私たちのスタジオの面目を保ってきなさい」

「面目を保つのは実力でしょ」水原玲は不機嫌そうに言った。

「人は着飾り、馬は鞍映え。見た目の効果を侮るものじゃないよ。さあ、行ってらっしゃい。私は入らないから、何かあったらすぐ連絡して。こちらが早く終わりそうなら、前もって言ってくれれば迎えに行...

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