第012章

冷めた態度で、特に取り入ろうとする様子もなく、それが伊藤剛に好印象を与えた。彼は頷いて笑いながら言った。「こんにちは、今日はおもてなしが行き届かなくて申し訳ない。さっき水原さんがお姉さんと呼んでいたけど、あなたも水原家の娘さんなのかな?」

「私の母は私一人しか産んでいないわ。妹については...」

水原玲は水原心奈を一瞥し、唇の端には相変わらず淡い笑みを浮かべていたが、その笑顔は冷たかった。「私はどこでもお姉さんと呼びたがる人たちとは違うの。妹なんて認めたくないわ。偽善的だし、気持ち悪いもの」

その言葉が出た瞬間、水原心奈の表情が変わった。何か言おうとした時、伊藤剛が笑いながら水原玲にグ...

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