第033章

「あら、石川社長、何を心配してるんですか、ほら妹も楽しそうじゃないですか、部屋に戻ってどうするんですか、僕たち家族でおしゃべりするのも素敵じゃないですか」と石川健太はにこやかに言った。

石川秀樹は彼に返事せず、娘のほうを見た。確かに、今回退院してから、石川香織の精神状態はずいぶん良くなっていた。

まあいいか、娘が元気でいてくれるなら、そこまで厳しく制限をかける必要もないだろう。

「あらパパ、僕たちと話したくないなら、部屋に戻ればいいじゃないですか。ほら、消毒液の匂いがプンプンしてますよ。こんな状態でデートに行くのはよくないですよ。今すぐ部屋に戻ってお風呂に入って、服を着替えて、かっこよ...

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