第055章

佐藤雅子は一気に話を終えた。

おじいさんはすぐに眉間にしわを寄せた。

石川秀樹の表情も沈んでいった。母親がいつも自分の考えを代弁するのが気に入らず、無意識のうちに水原玲の方を見た。心の中のわずかな焦りがどこから来るのか、自分でもよくわからなかった。

しかし水原玲は終始、彼を見ることはなかった。

水原心奈は彼が水原玲をずっと見ていることに気づき、歯ぎしりするほど憎らしく思った。ところが、おじいさんが突然彼女に視線を向け、尋ねた。「そうなのか？あの時、玲が君を階段から突き落としたというのは本当か？」

老人の厳しい目が、じっと彼女を見つめていた。

水原心奈は心の中でハッとした。このじじ...